退職すると、これまで見えていなかったお金のことが一気に現実味を帯びてきます。
私は貯金と知識を味方につけていたことで、事前準備バッチリの状態で退職することができました。
それでも、減っていく貯金額を目の当たりにすると、不安になる瞬間はある……
この記事では、実際に退職を経験して実感した「貯金と学びの大切さ」について、体験談を交えながらお伝えします。
退職後にかかる税金とその備え
退職すると、これまで給与天引きになっていた税金を「自分で手続きをして支払う」ことになります。
なんとなく引かれていた金額も、いざ自分の手で払うとなると、「え?こんなに??」と、驚くことも。
税金の自己負担は、退職を迷ってる人にとって不安材料の一つ。
でも、事前に調べて備えておけば、乗り越えられるものです!
国民保険と国民年金
会社員時代は、健康保険と厚生年金に加入し、その支払いを会社が半分負担してくれていました。
それが、退職すると、「健康保険→国民保険」「厚生年金→国民年金」に切り替わり、支払いも全額自己負担になります。
支払額は、単純計算でこれまでの2倍近くに。
収入がない状態でこの金額を払うのは、かなりのプレッシャーですよね。
安心の減額制度
収入が少ない場合は、どちらも減額もしくは免除の制度があるので、切り替えの際に相談して、一緒に手続きしてしまうのがオススメです。
私は切り替え手続きに行ったら「退職したの?じゃぁ、減額手続きも必要だよね?」と、流れで減額手続きの窓口に案内されました。国民保険の額は多すぎたので減額。年金は支払えない額ではなかったので、正規の金額を継続しています。
人によっては国保に切替えず「健康保険の任意継続」を選ぶ方が安くなる場合も。きちんと調べるか、役所で相談して、安い方を選ぶようにしましょう。
住民税の注意点
住民税はもともと全額自己負担なので、支払う金額自体は変わりません。
ただ、給与天引きで払っていたので、収入がなくなるのに支払いだけ残る……と感じるかも。
しかも、住民税は前年度の収入をもとに計算されるので、退職直前までしっかり稼いでた人ほど、翌年の住民税も高額になる傾向があります。
退職後しばらく働く予定がない人は、これも事前に用意しておくのがベターです。
住民税は最終給与から一括天引きで支払うことも可能です。
当然最終給与額は大幅に減りますが、私は毎月支払う方がストレスなので、一括天引きを選びました。
お金があることで得られる「選択肢」
退職を決意したとき、私の心を支えてくれたのは「生活防衛費」と呼べる貯金の存在でした。
生活防衛費とは?
生活防衛費とは、失業や病気など予期せぬ事態に備えて、あらかじめ確保しておく生活費のことです。
一般的には、毎月の生活費の3~6ヶ月分を目安に貯めておくことが推奨されています。
生活防衛費があれば「選択肢」が増える
人生に、予期せぬトラブルはつきものです。
たとえば今回のように「会社を辞めたい」と思ったときも、当面の生活費がなければ「辞めたくても辞められない」という状況になりかねません。
だけど、生活防衛費があれば、我慢して働く必要がなくなる。
お金があるというのは、「贅沢ができる」ことではなく、「選択肢を持てる」ということ。
「やりたくないことを無理に続けなくていい」「すぐに次を決めなくてもいい」という選択ができたのは、間違いなくこのお金のおかげです。
生活防衛費のおかげで、夢や趣味と存分に向き合えた
私は比較的早い段階で「お金を貯める習慣」を身につけていたので、20代前半のうちにこの「生活防衛費」を確保していました。
そのおかげで、20代の大半を「夢を追いかける時間」に使うことができました。
趣味に没頭したり、自分のやりたいことに時間をかけられたのも、「いざとなったら生活防衛費でなんとかなる」という、お金がくれた心の余裕があったからこそ。
お金がすべてではないけれど、お金があることで行動に移せることは確実に増えます。
これは、経験を通して、ハッキリと断言できることです。
お金がなくても「知識」で広がる選択肢
じゃぁ、お金がなければ選択肢が広がらないのか?といえば、そんなことはありません。
知識も、お金に匹敵するレベルで選択肢を増やしてくれます。
知識は日常の娯楽からも得られる
「知識なんて、勉強しないと得られない」と思われがちですが、そんなことありません。
医療ドラマを見れば病気やお医者さんの知識がつくし、スポーツ漫画を読めばルールや競技の面白さが自然と頭に入ってきます。
普段、なんとなく見ている娯楽の中にも、学びのきっかけはたくさん転がっている。
そしてそれが、「もう少し詳しく知りたい」「自分もやってみたい」という意欲につながることもあるのです。
そう考えると、今の時代は選択肢が増える機会だらけのような気がします。
さらに今の時代は、YouTubeやInstagramをはじめとしたSNS上には、さまざまなジャンルの情報が溢れています。図書館に行けば無料で読める専門書も山ほどあります。
こういうツールを利用すれば、興味を持ったことについて、お金がなくても、ある程度まで学べるものです。
知識が選択肢を広げた例
私の場合は、退職を前に金銭面で不安いっぱいだったとき、彼氏からFIREという考え方を教えてもらいました。
私の資産額ではFIREするのは到底無理だったけど、週に数回のアルバイトでも今の生活を続けられることがわかり、「それなら、フリーランスとして失敗しても、なんとかなりそう」と、気持ちがぐっとラクになったのを覚えています。
職業訓練校に通うつもりでいたので、その制度についても詳しく調べて、自分なりに納得がいったので利用しました。
ブログの開設方法だって、ネットに数多くある「ブログの開設方法」を読んで開設し、図書館で記事の書き方に関する本を借りて、実戦しています。
知識をつけたからこそ、「やってみる」選択肢が増え、行動にも移せている日々です。
ただし、こうした「知りたい」「学びたい」という気持ちにつけ込むような情報商材もあるので、注意が必要です。
情報商材には要注意!
SNS上には、無料で得られる有益な情報がたくさんある一方で、
その「知りたい」「学びたい」という気持ちにつけ込むような情報商材ビジネスも少なくありません。
・スキルゼロでも月収◯◯万円!
・1日30分で○桁稼ぐ方法
・完全攻略フリーランス独立ロードマップ
などといった魅力的な言葉でLINEやオンラインサロンへの登録を促し、高額なPDFや動画コンテンツに誘導するという流れが王道です。
情報商材の中身は、9割以上が無料で知れること
私も以前、こうした情報に惹かれDMを送ったことがあります。
指定されたキーワードをコメントで送ると、自動返信で資料が送られてくる……という流れ。
「全100ページ!」と書かれていた資料の中身は、中央に3行くらいの文字が書かれているだけのスカスカPDF。
しかも、その100ページはいわゆる「前振り」で、肝心な部分はすべて有料コンテンツに誘導されていました。
さらに、その100ページの資料もネット検索で普通に出てくる情報をまとめただけ。
以来、私は上にあげたようなキャッチコピーを見るたびに「情報商材ビジネスきた〜」と、冷ややかな目で見るようになってしまいました。
憧れと“搾取”の境界線を見極めよう
もちろん、「スキルを売って収入を得る」こと自体は悪いことではありません。
むしろ、自分の経験や知識を活かして収入につなげるのは、当然のことだと思います。
問題は、それがファン心理や憧れを利用した形になっているかどうか。
「この人の言うことなら信じたい」と思う気持ちにつけ込んで、無料で手に入る情報を高額で売っている。
そんなふうに感じてしまうので、少しでもお金のニオイがしたら、すぐ回れ右するようにしています。
学びたいなら、まずは無料で試せる範囲から。
図書館の本でも、ChatGPTでも、信頼できるブログでも、コスパ良く・着実に知識を得る方法はたくさんあります。
お金を貯める習慣を身につけられた理由
話は戻りますが、私が早い段階で「お金を貯める習慣」を身につけ、生活防衛費を確保できたのは、完全に親の教育のおかげです。
言われるがまま続けたら、貯めるのが当たり前に
母の口癖は「貯金は額より年数」。
社会に出るとすぐ、貯金をするよう強く勧められました。
言われるがまま、給与天引きで少額ずつ積立貯金をスタート。
ある程度まとまった額になると今度は
「今の時代、銀行に入れてるだけじゃ増えないから、投資しなさい」
と、半ば強引に証券口座を開かされ、ほったらかし投資がスタート。
ただ、私は「投資=株で破産」というイメージが強くて、投資を信用できずに積立貯金も自主的に継続。
その結果、数年分の生活費に相当する生活防衛資金を蓄えることができました。
継続は力なり
振り返ってみると、やはり貯金は「額より年数」だと実感します。
最初は月に1万円の微々たる金額。
年間12万円。10年続けても120万円。
正直、「これ、意味ある?」と思ったりもしました。
でも、そこでやめたりせず、続けながら
・じゃぁ、10年後いくらにしたい?
・そのためには月々いくら積み立てる?
・無理なく継続すると、落とし所は?
そんな風に、自分で考えながら積み立てていくうちに、気づけば「続けるのが当たり前」になっていました。
慣として身につけたことも、貯まった金額も、まさに「継続は力なり」でした。
まとめ:貯金と知識がくれた「安心して退職する」力
会社を辞めたい。
でも、辞めたあとどうなるかわからない不安で、なかなか一歩が踏み出せない。
そんなとき、私の背中を押してくれたのは「貯金」と「知識」でした。
貯金があったことで、「会社を辞めても大丈夫」と思えた。
知識をつけたことで、「働き出すまで時間がある」と知れた。
そして何より、「大丈夫、なんとかなる」と思えたのは、「継続して備えてきた自分」がいたからです。
生活防衛資金なんて、今はまったく貯金がない人には遠い話に思えるかもしれません。
でも大切なのは、「少しずつでも、今から始めておく」こと。
あなたがいつか、理不尽な環境から抜け出したくなったとき、
「お金と知識を少しずつ備えておいて良かった」と思えるように。
この記事が、そんな一歩を踏み出すきっかけになれたらうれしいです。