クライミングを続けていくと、いつかはレンタルシューズを卒業するタイミングがやってきます。
この記事では、「そろそろマイシューズを買おうかな」と思ってる方に向けて
・クライミングシューズの種類や特徴
・選び方のコツ
・初心者におすすめのモデル
これらをわかりやすく紹介していきます!
クライミングシューズをネット検索すると、種類が多すぎて
「結局、どれがいいの?」
と、頭を抱えたくなると思います。
だけど、実際の店舗に置いてあるのは、限られた数種類だけ。
全種類を置いてある店舗なんて、ほとんどありません。
だから、画面越しに悩むのではなく、まずは店舗に行って、置いてある中から「履きやすい」と思うシューズを選ぶのがオススメです!
ファーストシューズは“クライミングに慣れる”ための1足です。
「最高のシューズはどれだ?!」なんて深く考えず、「とりあえずこれでやってみよう」くらいの気持ちで選ぶのがちょうどいいですよ!
はじめに:クライミングシューズ、レンタル卒業のタイミングは?
まず、「いつシューズを買うのがベストなのか?」という疑問について。
「何回くらいやったら買えばいいの?」
と悩む人も多いですが、個人的には回数でより気持ちが重要だと思います。
「まだまだ上り足りないな」
「次はいつ来ようかな」
自然とそんな風に考えるようになったら、クライミングを続けたい気持ちができたサイン。
このときが、購入のタイミングです。
だから、「長く続けたい!」という気持ちがあるなら、体験後すぐに買ってもOKですよ。
とはいえ、クライミングシューズは安くても2万円前後。決して安い買い物ではありません。
体験では楽しくても筋肉痛で心が折れたり、課題が急に難しくなって嫌になることも多々あります。
なので、2〜3回はレンタルシューズで登って様子を見るのがオススメです。
クライミングシューズの種類と特徴
クライミングシューズは数多くの種類があります。
ここでは
・履き方
・靴の形状
・ゴムの硬さ
以上の3つに分けて簡単に解説します。
1:履き方のタイプ
クライミングシューズには「スリッポン」「ベルクロ」「シューレース」といった履き方の違いがあります。
履きやすさ・フィット感・脱ぎやすさなどに影響する部分です。
スリッポン
靴ひもやマジックテープがなく、足をスッと入れて履くタイプ。スリッパ感覚に近いです。
メリット:着脱がとても簡単/足裏感覚がつかみやすい
デメリット:ゴムが伸びやすく、フィット感が落ちやすい
ムーブ練習用として履く人も多いです。
ベルクロ
マジックテープで締める、最も一般的なタイプ。
初心者〜上級者まで幅広く使われています。
メリット:着脱がしやすく、締め具合もそこそこ調整できる
デメリット:ベルクロの位置によっては、ホールドに引っかかることがある
レンタルシューズでも多く採用されているのがベルクロタイプです。
シューレース
スニーカーのように、紐でしっかりとフィット感を調整できるタイプ。
メリット:自分の足の形にぴったり合わせやすい/かかとが脱げにくい
デメリット:脱ぎ履きに時間がかかる/ジムだと少し面倒に感じることも
足幅が狭めな人や、フィット感重視の人におすすめです。
2:シューズの形状
クライミングシューズの形状には「フラット」「ダウントゥ」「ターンイン」といったタイプがあり、どんな壁を登るか/どんなムーブを得意とするかによって向き不向きがあります。
フラット
靴底がまっすぐなタイプ。履き心地がスニーカーに近く、初心者向けとして定番。
メリット:足が痛くなりにくい/汎用性が高い/垂壁やスラブに向いている
デメリット:強傾斜ではホールドに乗りにくいこともある
レンタルシューズのほとんどがこのタイプです。
ダウントゥ
つま先がグイッと下にカーブしていて、ホールドに“引っ掛ける”動きに強いタイプ。
主に強傾斜やルーフ(天井のような壁)向けです。
メリット:強傾斜で威力を発揮/つま先に力を集めやすい
デメリット:足がめちゃくちゃ痛い(最初は特に)/フラットに比べて高価
「上手くなったら使ってみたい」そんな憧れの存在になるシューズです。
ターンイン
つま先が親指側に曲がっていて、足の内側でしっかりホールドを踏む動きに特化した形。
メリット:小さいホールドを正確に踏める/強傾斜で有利
デメリット:癖が強い&とにかく痛い!慣れるまで時間がかかる
ターンイン&ダウントゥという、最も攻撃的なモデルです。
3:ソール(ラバー)の硬さ
クライミングシューズの靴底(ソール)のゴムの硬さも、履き心地や登りやすさに大きく影響します。
大きく分けると「硬め」と「柔らかめ」があり、それぞれに特徴があります
硬めのラバー(ハードソール)
ゴムがしっかりしていて、形が崩れにくい。
指先をピンポイントでホールドに乗せて「点」で登るイメージ。
メリット:エッジ(角)に立ちやすい/足が疲れにくい/長持ちしやすい
デメリット:足裏感覚がやや鈍く、細かいホールドの感触が伝わりにくい
フラットな壁や足技の練習に向いていて、最初の一足におすすめ
柔らかめのラバー(ソフトソール)
ゴムが柔らかく、足裏の感覚が伝わりやすい。
指の腹ををホールドに押し付けて「面」で登るイメージ。
メリット:スメア(壁に足裏全体で乗る動き)しやすい/フィーリングが直感的
デメリット:踏ん張る力が必要で、足が疲れやすい/ゴムが減りやすい
初心者向け?:△ 壁に慣れてきた頃〜2足目以降におすすめ
初めてのクライミングシューズ、選ぶならこのタイプ!
初めて買うなら、深く考えず「痛くない・踏みやすい・疲れにくい」を重視して選ぶのがおすすめ。
そして、この3点を重視すると、ベルクロ×フラットシューズが最適です。
ラバーの硬さは慣れるまでわからないので、気にせずベルクロ×フラットの試し履きをして、
「レンタルシューズと同じように履けそう」
と思うシューズを選べばいいと思いますよ。
クライミング歴が長くなってくると、複数のシューズを場面によって使い分けることも多いです。
私自身も、メインシューズの他に4足所持しています。
初心者におすすめのクライミングシューズ3選
どのクライミングシューズメーカーからも、初心者に向けたエントリーシューズが販売されています。
ここでは、そんなエントリーシューズを3足ご紹介します。
ちなみに、全てベルクロ×フラットシューズとなっております!
初心者向けのエントリーシューズといっても、「あの人エントリーシューズだし初心者仲間かな?」と思って見てたらレベチのムーブをかます鬼強クライマーだった!!なんてことは多々あるので、あなどれません!!
1:スポルティバ/アラゴン(ARAGON)

価格:¥19,800(2025年5月時点)
クライミングシューズは、指先を伸ばさず曲げて履くものなんですが、アラゴンは折り曲げずにまっすぐ履けるのが特徴。
私は履いたことがないのですが、ユーザーのレビューを見てても「まっすぐ履ける=足入れしやすい」という声は多く、かなり初心者を意識した作りになってるみたいです。
メンズとウィメンズの2種展開で、より自分の足にあった形を選ぶことができます。
補足
スポルティバには長年「タランチュラ」という初心者向けの定番シューズが存在したんですが、近年廃盤となりました。
現在のスポルティバではアラゴンをエントリーシューズ(初心者向け)として勧めているので、タランチュラの後継者にあたるのかな?と思います。
【スポルティバ/La Sportiva】
1928年創業のイタリア老舗ブランド。自然に囲まれた場所で山靴の開発・製造を続けている、伝統と実績のある王道メーカーです。
有名なモデルはスクワマ、セオリー、ミウラー、TCプロ。
日本クライミング界のレジェンドである平山ユージ選手や野口啓代選手、伊藤ふたば選手、森秋彩選手、安楽宙斗選手らがアンバサダーを務めています。
2025年にアダムオンドラと共同開発した”オンドラコンプ”が発売され、話題となりました。
2:スカルパ/オリジンVS(Origin VS)

価格:¥19,800(2025年5月時点)
スカルパのエントリーシューズとして親しまれていたオリジンの新モデル。
こちらも履きやすさを重視した作りとなっていて、メンズとウィメンズの2種展開です。
エントリーモデルの中では一番見た目がオシャレで、モチベーションが上がるデザインです。
【スカルパ/SCARPA】
こちらもイタリアの老舗ブランドで、1938年創業。イタリア語で「靴」を意味するスカルパはその名の通り靴専門のブランドです。
有名なモデルはインスティンクトVSR、キメラ、ドラコ。
インスティンクトVSRの愛用者は多く、ジムでよく見るシューズの一つです。
3:イボルブ/デファイ(DEFY)

価格:¥18,700(2025年5月時点)
足に優しい作りになっている為、履き心地が良く初心者におすすめ。
柔らかめのソールでホールドとの接地感が高く、足裏感覚を掴むのにも適しています。
【イボルブ(evolv)】
イボルブは、2003年にアメリカで誕生した比較的新しいブランド。
にも関わらず、アメリカ国内でのクライミングシューズシェア率はNo1のブランドです。
有名なモデルはファントム、ゼニスト、クロノス。
番外編:私のシューズ遍歴と、選ぶ基準
私のファーストシューズはスポルティバのエントリーモデルであったタランチュラ。
1年近く使用しましたが、ずっと「自分がホールドのどこを踏んでるかわからない」という悩みを抱えていました。
ホールドには間違いなく乗れているんだけど、
・エッジの際を踏んでるのか内側で余裕があるのか
・「点」で踏んでるのか「面」で踏んでるのか
そういう感覚がなく、「もっと『踏んでる』感覚を掴みたい!!」と思い、ソールの柔らかいシューズを求め、出会ったのがFIVE TENのteam5.10。
「足裏感覚がわかる」ことが超重要な基準に
team5.10は、数あるクライミングシューズの中でもトップクラスで柔らかく、裸足で登ってるくらい足裏感覚が掴みやすいシューズです。
その柔らかさゆえ、全体重を指先に感じ乗せる痛みもダイレクトに伝わるし、強烈なダウントゥ形状で慣れるまでは涙なしで履けないんですけど(本当に泣いた)、慣れると「これ以外のシューズを履くと自分がホールドにどれだけ体重をかけているのかが全くわからなくなる」といった弊害が起こるくらい、とにかくホールド感覚が掴みやすいシューズでした。
スラブでその威力を遺憾なく発揮するので、楽しすぎてスラブ狂いになったのは良い思い出。
残念なことに「ヒールカップが役立たず」という致命的な弱点があったため、泣く泣く卒業……
でもこのシューズの影響でソールの硬いシューズは履けなくなり、現在は比較的柔らかめのスポルティバのtheory womanをメインシューズとして使用しています。
theoryはteam5.10以降、唯一「これでもホールドを踏む足裏感覚が掴めるかも?」と思ったシューズです。
価格が高くてやや攻めた作りなので、初心者向けではないかもしれませんが、柔らかめのシューズに興味が出たら、選択肢の一つに加えてみてください。
クライミングシューズを試着する時に確かめること
クライミングシューズを買う時は、必ず店頭へ行き、試着すること!
なぜなら、クライミングシューズはメーカーやモデルにより、同じサイズ表記でも履き心地が全然違うからです。
「足のサイズが26cmだから」という理由で26cmの靴を買い、小さすぎて履けなかったり、逆に大きすぎて脱げそうになることも、よくあります。
しかもクライミングシューズの大半は海外製品で、cmでなくUK,US,EU表記が基本。
そういったことからも、最初の一足は必ず、店頭で試着して決めてください。
店頭でサイズを確認して、ネットで少しでも安く購入するという手もあります。
ただし、新品ならまだしも、中古品は前の持ち主の履き癖が残っていることもあるので、注意が必要です。
はじめに:クライミングシューズ選びの大前提と、履き方
まず大前提として、クライミングシューズは「普段履いている靴より少し小さいサイズを選ぶ」のがセオリー。
クライミングでは、足の指先まで意識してホールドに乗り込む場面が多々あります。
小さめのシューズを選んで足とシューズのフィット感をアップさせることで、足指の筋肉がシューズの中でぶれず、フットホールドを的確に捉えることができるようになり、シビアな局面でも思い切って踏み込むことができるんです。
クライミングシューズは、力技で履け!
新品のクライミングシューズは、履き口が狭くて足入れが難しいです。
レンタルシューズは伸び切っていることが多いので、あまりの履きにくさに驚き、
「売り物なのに、こんな無理やり足を入れていいのか?」
と不安になることでしょう。
ほぼ全てのクライミングシューズには、かかと部分にプルタブ(輪っか)がついています。
これは、ここに指を引っ掛けて後ろに伸ばすことで、かかとを入れやすくする為……
つまり、クライミングシューズはそのくらいキツキツで履くのが標準ってこと。
恐れずに、プルタブを引っ張って、足をねじ込んで下さい。
確認ポイント1:フィット感
シューズと足の型が合っていれば、足さえ入れば「履く時の苦労はなんだったんだ?」と感じるくらい履き心地は普通だったりします。
とはいえ、クライミングシューズは硬いゴムで覆われたシューズで、布の靴に比べて伸びません。
普段履いてる靴より圧迫感や密着感があります。
そして、この圧迫感・密着感が重要!!
足全体に、適度な密着感=フィット感があることが大切なポイントです。
足全体を「軽く握られている」ような感覚が、ちょうどいいフィット感です。
昔は「攻める」といって、あえて小さめのシューズを選ぶのが主流でした。
だけど最近のシューズは性能がいいので攻める必要はありません。
ファーストシューズでは適度なフィット感があれば十分です。
確認ポイント2:つま先のあまり具合
シューズが履けたら、つま先部分を軽く指で押して、あまりがない確認してください。
クライミングは基本的につま先をホールドに乗せて登るため、あまりが多すぎるときちんとホールドを踏めず、滑り落ちる原因にもなるので危険です。
確認ポイント3:痛みを感じる場所
フィット感とつま先の感覚が「いい感じ」と思ったら、その場で足踏みしたり、飛んだりして、動いた時の様子を見て見ましょう。
クライミングシューズを履いた時に痛みが出る主な箇所は
・親指
・小指
・足の甲
・かかと
どれも、サイズが小さすぎたり、シューズと足の型が違うことで出る痛みです。
適度なフィット感を超えた痛みを感じるなら、無理せずサイズを上げるか、他のモデルを試してみましょう。
注意点:物理的に合わないこともある
クライミングシューズは、同じフラットシューズでも種類によって型が全く異なってきます。
なので、サイズを変えても痛みが出たり、フィット感が出ない場合は、そもそも靴と足の型があってないってこと。
こればかりはどうしようもありません。
どんなに評判が良くても、デザイン面で気に入っても、履けないものは履けないんです。
諦めて、違うシューズを探しましょう。
私は結構足型難民で、憧れのシューズ(ハイアングル・キメラ・パイソンなど)はことごとく合わなくて泣かされました。
でも、その分、自分に合うシューズに出会えたときの喜びと愛着が大きいし、登るモチベも爆発します!
諦めずに、いろいろ試してみてくださいね。
クライミングシューズ、どこで買う?
クライミングシューズは、登山靴を取り扱っている大きめのスポーツ用品店や、アウトドア用品店に置いてることが多いです。
全国展開している有名な店舗だと
・好日山荘
・石井スポーツ
他にも、ジム併設のショップで購入することもできます。
大阪でおすすめのショップ併設ジム
私が住んでる大阪で、ショップ併設のおすすめジムはこちら。
・Dボルダリングプラスリードなんば
・CRUX大阪
・シエスタ東大阪
Dボルダリングプラスリードなんばは大阪で圧倒的に初心者におすすめできるジムなので、ここで買って、そのまま登るのを楽しめていいんじゃないのかなと思います。
CRUX大阪とシエスタ東大阪は、シューズ以外にもいろいろなクライミンググッズが揃っているので、見ているだけでも楽しいショップです!
まとめ:「痛くない」を重視して、信頼できる相棒を見つけよう
「クライミングをやめた理由の8割は“足が痛い”」
そんな話もあるくらい、初心者にとってクライミングシューズの“痛み”は大きなハードルです。
でも裏を返せば、“足に合うシューズ”を選べば、クライミングはもっと楽しくなるってこと。
大事なのは、他人のおすすめや評価よりも「自分の足の形や登り方に合っているか」。
……とはいえ、ファーストシューズでそこまで見極めるのは、正直むずかしいです。
だからこそ、最初は「痛くないこと」「フィット感があること」だけを重視して選んでみてください。
履いて登ってみるうちに、自分の癖や好みが少しずつわかってきます。
クライミングシューズは、ただの道具じゃなくて“信頼できる相棒”。
ぴったりの相棒と出会えたら、クライミングはもっともっと楽しくなりますよ♪