「会社を辞めたい」と思っても、すぐに辞められる人ばかりではありません。
私もブラック企業での勤務に限界を感じながら、「いつ・どうやって辞めればいいのか」と悩んでいた一人です。
退職を決意してから、実際に辞めるまでにかかった期間は約3ヶ月。
・退職計画の立て方
・退職理由の伝え方
・引き継ぎの進め方
・親やパートナーへの報告
3ヶ月の間で、これらにどう向き合ったかをまとめてみました。
今、「辞める決心はあるけれど、どう動けばいいかわからない」と迷っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
退職日を設定し、スケジュールを逆算
愚痴を言うばかりの毎日の不毛さに気づき、
「一度しかない人生死ぬまで愚痴を言っておわりたくない!」
と、本気で退職を決意した後は、ひとまず自分の中でいつ辞めるかというスケジュールを組んでみました。
退職日を3ヶ月後に設定
私が本気で退職を決意したのは5月後半。
理想は「退職することにしたので明日から有休消化に入らせて下さい」と言って、以降は出社することなく退職すること……
ですが、さすがにそんな身勝手なことはできませんでした。
業務の引継ぎは必須だし、自分の抱えてる進行中の案件は見届けたい。
当時抱えていた案件が、9月頭に区切りがつく予定だったので、自分の中で退職日をそこに設定。
仕事のスケジュールを逆算すると、7月後半から有休消化に入る計算になったので、遅くとも6月中には退職を申し出る必要があるとわかりました。
退職を阻む2つの壁を壊してく!
私は社員10人ほどの小さな会社で働いていました。
パワハラ上司のせいで人を雇ってもすぐに辞める、慢性的人手不足な状況。
そして、退職願の申し出はこの上司に伝えなければならない。
だから、退職を願い出ると、人手不足を理由にパワハラで捩じ伏せてきます。
私も過去に3度、退職の意思を伝えたのに、言いくるめられて終わってしまった経験がありました。
先に退職した人の中には退職代行を使った人や、音信不通になった人も。
そして、退職理由は100%上司のパワハラですが、この上司を通して上に報告されるので、その事実は全て上に伝わらず揉み消されてしまうのでした。
退職の壁1:退職の申し出先、上司の壁は自然崩壊
ところがある日、この上司が不祥事を起こし、会社を去ることに。
これを機に、退職の申し出先が社長に変更。
これにより1つ目の退職の壁が、自然と壊れたことになります。
退職の壁2:退職理由をポジティブで論理的なものに
社長もまた、パワハラとは別ベクトルで圧が強く人手不足の状況は変わらない。
ということで、申し出先が社長に変わっても、なかなか退職成功する人が出てきませんでした。
私は今回、絶対に退職する決意があったので、退職理由を綿密に考えることに。
退職理由はポジティブなものにする
過去の退職理由は「仕事(上司の理不尽)が精神的苦痛の限界に達したから辞める」。
今回の退職理由は「精神的苦痛&自分の力で働くことに挑戦したい」。
過去3回の経験から、退職理由をマイナスの要因で伝えると
・「どこに行っても同じ」
・「仕事は楽しいばかりじゃない」
・「大人なんだから多少は我慢も必要」
・「改善する努力をする」
みたいな感じで説得されることを学んだので、今回は「自分の力で働いてみたい」というポジティブな面を全面的に押し出すことに。
反論されても動じないよう準備する
また、過去同様に辞めさせてもらえない流れになった場合の反論も考えました。
「自分の力で働いてみたい」という理由で退職するので、
・自分の力でどうやって稼ぐつもりなのか
・若くないのにそんな挑戦できると考えてるのか
・うまくいかなかったらどうするのか
・安定を求めて入社してきたのに、また不安定な状況に戻るのか
といった不安要素を引き合いに出して退職させてもらえないパターンを予想し、それぞれ、論理的に反論できる準備をしてから退職を願い出るようにしました。
なぜか言えない、「辞める」のひと言
私はアルバイト時代も含めて過去に4度の転職経験があります。
つまり、4度、退職を切り出した経験がある。
そして経験上、「辞める」の一言を言うのが、どんな仕事より一番しんどかった。
会社に切り出すタイミングを図る
5月後半に退職を決め、なかなか言い出せずにいた6月初旬。
間の悪いことに仕事でミスを起こし、社長からお叱りを受けました。
これにより、
「今辞めると言い出したらミスしたから逃げると思われるんじゃないか」
なんて考えて、ますます言い出せなくなったのですが……
絶好のチャンス到来!そして…
どうしたものかと悩んでいたら、社長から個人面談で呼び出される機会が。
内容は、パワハラ上司の後任となった同期の働きぶりについてのヒアリング。
なので、ここぞとばかりに普段の不満をぶちまける。
そして、その流れで勇気を出して
「実はフリーランスに挑戦したくて年内で退職したいと考えている。
彼がこのままの状態でいると後輩への負担が尋常じゃないので私としてもどうにかしてもらいたい」
と、退職を考えていることを伝えることに成功!
予想外の反応と、正式な退職決定
社長は驚きながらも
「社員がそんな向上心を持ってるなんて嬉しい!
応援するし、快く送り出したい。年内とは、具体的にいつ頃なのか決めてるの?」
と、否定も引き留めもなく、ただただ喜び応援の言葉をくれました。
まさかの展開に拍子抜け。
希望通りの時期に退職が決まる
仕事の落ち着く9月に退職したい意向も伝え、その場では
「今は人手が足りないから退職時期は保留」というかたちで話は一旦終了。
半月ほどして、正式に退職日の連絡があり、希望通り9月に退職することが正式に決まったのでした。
後輩が苦労しないよう、最善の準備を
正式に退職が決まるまで、業務の引き継ぎはできない……
ということで、正式に退職が決まった7月初めから、少しづつ業務を引き継ぎはじめました。
ところが、
・休日&有給消化が多く出勤日が少ない
・外回りの日が多いく、内勤日が少ない
以上の理由で、引き継ぎの時間を取るのが思っていたより大変。
途中から2代目パワハラ上司が「自分も引き継ぎ内容を把握したい」と言い出し、ただでさえ大変な日程調整により一層苦労したり、あらゆる業務の行程表を細かく作らされたり、余計な手間もめちゃくちゃ取らされた。
それでも残してゆく後輩の助けになるならと行程表を作ったけど、今、それらは無視して後輩は仕事を振られてるそうです。
後日、後輩とご飯を食べたときに聞いた話。
私「私の作った業務スケジュール、あいつも把握してるんだから「この日程では無理ってわかりますよね?」って言えばいんじゃないの?」
後輩「そう言っても、「でもできるやろ?がんばって」って言われるんです」
……なんのための行程表?そして、無視して無茶振りって、立派にパワハラ街道歩いてるなぁ。結局、元上司と同じ人種だったってことか。
家族やパートナーに、自分の選択を伝える
会社への報告が済み、引き継ぎも始まり、有休消化も始まる。
退職日が迫る中で、まだやり残していたことがありました。
ズバリ、身内への報告。
一番言い出しづらかったのは「親」
私にとって、親への退職報告は、会社よりも言い出しにくかったです。
高校卒業以降ずっとフラフラしてた娘が、40歳目前にしてようやく正社員になったと思ったのに、ふたたび無職になる。
親からしたら「せっかく安心できたのに」と思うことでしょう。
しかも当時、私はパートナーと半同棲中。
家にいることが少ない上に、そのパートナーの紹介も済ませてない状態。
「娘が変な男に唆されて定職を失った」と悲しんだり、彼の印象が劇的に悪くなるんじゃないかという心配もあり、全くもってどう切り出していいかわかりませんでした。
辞める2週間ほど前に、なんとか母親と二人になる機会を作って、勇気を振り絞って「実は会社辞めることにした」と直球で伝えました。
ここでまたもや、拍子抜けの展開
母は私の予想に反して結構アッサリ「いいんじゃない?」と。
実家にいた頃はそれこそ朝早くに出て終電間際に寝るためだけに帰ってくるような生活をしていたので、会社に対してあまりいい印象を持ってなかったようです。
「今の仕事を辞めてもなんとかする力があると思う。だから好きにしたらいい。」
母の本当の気持ちはわかりませんが、何も否定せず、娘を信じる言葉をかけてくれることに感謝しかないです。
その後、正式に同棲するにあたって、パートナーのことも両親にきちんと紹介しました。
パートナーからは、労いの言葉
彼もまた、私が早朝から出ていって残業に次ぐ残業生活をし、心身ともに疲弊するのを見続け、会社への印象は最悪。
「そんなに働けるならフリーでもやっていけると思う」とフリーランスの道を勧めてくれてもいたので、正式に辞めると伝えた時は
「頑張ったね、おめでとう」
と、温かい言葉をかけてくれました。
「同棲中の彼女が無職」というのは世間的に体裁が悪いと思うけど、自身も脱サラしてるからなのか、気にならないみたいです。
優しく理解のある彼の評価が身内で下がらないよう、一日も早く稼げるようになりたいと思ってます。
退職をきっかけに、「人に恵まれていた」と気づく
会社も、親も、パートナーも、私の予想に反してみんな「退職してフリーランスになる」という選択を快く受け入れ、背中を押し、「がんばれ」と声をかけてくれました。
正直もっと馬鹿にされたり反対されたり愛想尽かされると考えていたので、なんというか、「私は人に恵まれているんだな」と感じました。
パワハラに負けず、真面目に働いててよかったと思えました。
晴れて円満退職へ
そんなこんなで、抱えていた大きな仕事が片付いた9月半ば。
会社のみなさまに温かいお言葉を頂き、5年勤めた会社を円満退職しました。
終わりよければすべてよし
パワハラ上司もパワハラ上司になった同僚も大嫌いだったけど、仕事内容は大好きでした。
職場で身につけたスキルや経験もたくさんあります。
なにより、入社したときは自分のことを「なんの取り柄もない人間」と卑下しまくっていたのに、退社する時には「私にできることはたくさんある!人生一度きりだしフリーランスに挑戦したい!」とポジティブマインドになるという変わりっぷり。
夢に挫折して以来、どうしても自分のことを「負けた人間」という気持ちで見ることしかできなくて、なんに対しても自信を持てずにいました。
そんな私に
「この会社でこれだけ働いてこれたんだから何だってできる、私強い!」
という謎の自信を与えてくれたことには、心から感謝しています。
退職後に心配な「お金」のこと
退職後の不安で忘れはいけないのが、「当面の生活費」。
多くの人は、次の仕事が決まるまで無収入となり、貯金を切り崩す生活になります。
ある意味、会社のストレス以上に頭を悩ませることになるかもしれません。
退職後にかかるお金を用意しておくこと!
退職したタイミングや個々の状況によっても変わってきますが、退職後は一時的にまとまった金額の出費がどっと押し寄せてきます。
その主な理由は4つ。
・生活費
・住民税
・国民保険料
・国民年金
住民税は、会社にお願いすれば最後の給料から一括で天引きすることができます(ただし、最終給与が激減するので要注意)。
国民保険と国民年金は、役所で手続きをすれば減額または免除にすることも可能。
生活費は、最低でも半年分用意しておきたいところ。
数ヶ月で用意できる額ではないからこそ、日頃から「いざという時」に備えて、コツコツ貯めておくのがベターです!
十分な資金があっても、不安になることも……
私の場合、2〜3年無職でも生活できる資金がありました。
後から入ってくる退職金や失業給付金で補填ができると分かっていたけれど、それでも大きく減った預金残高を見て、焦りを感じ、先行き不安になりましたね……
計画的な退職でもこうなるのだから、突発的な退職では、もっと金銭的不安を抱えると思います。
パートナーや実家など、頼れる存在があるのなら、頼るのも一つの手。
その場合は、感謝の気持ちを忘れず、しかるべきタイミングでコツコツ恩を返していきましょう。
まとめ:自分の気持ちに耳を傾けて、前に進む選択を!
退職を決めてから実際に辞めるまでの3ヶ月間。
退職が決まれば、「あとは期日まで働くだけ!」と、割り切れると思っていたのに、実際は引き継ぎや親への報告、だんだん大きくなる金銭的不安などで、「退職決まったのに、全然穏やかな気持ちになれない!」という気持ちの方が強かったです。
それでも、パワハラや人手不足、会社との交渉、家族への報告、将来への不安と迷い……
ひとつひとつの問題に向き合い、自分なりに考えて準備し、進めたからこそ、「ブラック企業から逃げ出した」のではなく、「希望のタイミングで、次のステップに踏み出せた」という気持ちで、退職することができました。
もし今、あなたが私と同じように仕事環境で悩みを抱えているなら、まずは自分の気持ちに耳を傾けてみてください。
出てきた答えに向けて、すぐに行動できなくても大丈夫。
少しづつ自分の希望に沿った道への準備を進めていけば、きっとあなたらしい形で前に進めるはずです。